🙅‍♂️腸内細菌としての常駐乳酸菌

 


◆腸内細菌が安定的に定着している腸内環境は免疫力の維持にとって重要です。

※乳酸球菌エンテロコッカスは最も多く胃腸管に常駐しています。 

人の胃腸管は他の乳酸菌を凌ぎ乳酸球菌エンテロコッカス・フェカリス菌が常駐してます。  

(胃腸管内容物1g当りの存在数)

※重要なことは乳酸球菌エンテロコッカスの定着率が最も高く胃でビフィドバクテリウムは8000個(内容物1g)の存在に対しエンテロコッカスは1億個も定着していることです。 

【胃:1億個~百億個、小腸:百億個~1千億個、大腸:1兆個】

腸内細菌は「第三の臓器」と言われ乳酸球菌エンテロコッカスは最も重要な存在です。


◆エンテロコッカスの定着分布

エンテロコッカスは腸管の各部でどのように分布しているかを調べるために無菌ラットに人から分離した3種類の乳酸菌(エンテロコッカス・ラクトバチルス・ビフィドバクテリウム)を投与し8週間後に胃腸管の各部位の内容物に定着している菌と各部位の壁に定着している菌を調べました。

<乳酸球菌エンテロコッカスは他の乳酸菌を凌ぎ胃腸管に多く定着していました>

これは乳酸菌の中で乳酸球菌エンテロコッカスが最も重要な乳酸菌で胃腸管をコントロールしていることを意味します。  

エンテロコッカスは内容物では回腸以下と糞便で圧倒的に菌数レベルが高く(10の9乗ー10/g当り)壁では下部腸管の方が上部腸管よりも高くなっている事がわかります。

ラクトバチラス・ビフィドバクテリウムは内容物では、盲腸、結腸、糞便でのレベルが高く壁では盲腸と結腸でのレベルが高くなっています。

しかし、エンテロコッカスの菌数レベルと比べるとラクトバチラスで約100分の1程度にしか過ぎません。

この様に人から分離した乳酸菌は宿主が違うラットでも高いレベルで定着し乳酸菌の中でエンテロ・コッカスが最も優勢な定着をしている事もわかりました。

この定着しているエンテロコッカスの菌種を調べるとエンテロコッカス・フェカリス、フェシウムなど腸管型のエンテロコッカスで口腔型のエンテロコッカスは定着していない事もわかりました。

エンテロコッカスの定着性はビフィドバクテリウムより100倍も高くデーターなしに云われて来たビフィドバクテリウムの定着性が高いと言う神話はここに崩れ去りました。

研究者はデーターに基づかない神話は述べてはならないことの実証である。

エンテロコッカスの定着性は腸管下部(回腸以下)に多く存在し定着すると云われて来ましたが私の実験結果からエンテロコッカスは胃から糞便に至る腸管に高いレベルで定着している事がわかりました。


※人には人の乳酸球菌が最も定着する

乳酸球菌は腸管上皮をおおっている糖タンパク(ムチン)や糖脂質から構成されている粘液層によって腸管上皮に付着しています。

人から採取した乳酸球菌とサルおよびラットから取れた乳酸球菌との付着率を比較しました。

驚くべきことに人から採取された乳酸球菌は人の腸管によく付着するのですがサルやラットには付着しにくいことが分かりました。

逆にサルやラットの乳酸球菌も人の腸管に付着しにくいことがわかりました。

こうした点で人から取れた乳酸球菌とサルやラットから取れた乳酸球菌とは相違していることが分か。

このことは進化の過程で人類の乳酸球菌がほかの哺乳動物の乳酸球菌と大きな差がでてきたことを意味します。

これは乳酸球菌の研究で初めて証明された「進化」の一例と言えます。