◆ガンの免疫療法(河合康雄著より)


※ガンの増殖に伴い免疫能は低下する。

この免疫能を高める事によって、原発ガンの転移の防止、再発防止、そしてガンの治療を目的とするのが免疫療法である。

我々はガンの予防ということを含めて考えている。

ガン細胞に障害的に働くのは特異的細胞性免疫(Cell-mediatedImmunity)と言われている。

 

※関係する細胞群としては 

①活性化マクロファージ

②リンパ球

③NK(Natural Killer)細胞

④K(Killer)細胞

⑤T細胞

⑥B細胞⑦顆粒球などがある。

 

※その中で最も注目されているのは活性化マクロファージである

マクロファージは貪食能を持つ細胞として知られている。

一方、抗原提示細胞として、免疫応答における最初の段階で生体に侵入したある物質が自己の成分と同じであるのか、非自己の物であるのかを識別して非自己の物質を抗原情報としてリンパ球に伝える役目を担っている。

ここで述べる活性化マクロファージ(完全活性化)とは腫瘍細胞の増殖を抑制するあるいは傷害するマクロファージの機能を意味している。

 

※腫瘍細胞に傷害を与えるべきマクロファージを活性化する因子 

①細菌、死菌体、菌体成分

②リポ多糖体

③ポリI-ポリC(二重鎖、ポリヌクレオチド)

④レクチンその他、色々の物質が知られている。

 

※これらの物質(因子)のマクロファージ活性化は次の様に起こる。

マクロファージから放出されたインターロイキン1(IL-1)がリンパ球T細胞を活性化する。IL-1もしくは、その他の因子で活性化されたT細胞は、インターロイキン2(IL-2)を産生してさらにマクロファージを活性化する。

IL-2の中でマクロファージ活性化因子(MAF)が最も重要視されている。またリポ多糖体はそれ自身でマクロファージを活性化する。

このように生体内にあってはマクロファージとリンパ球の相互作用は不可欠であり、それに補体を始めとして色々な因子が関与している。 

 

※活性化マクロファージが腫瘍細胞を傷害する過程

①マクロファージが腫瘍細胞と直接結合する場合 

②マクロファージがある化学物質を遊離・放出して腫瘍細胞を傷害する場合。

 ① の場合はマクロファージが腫瘍細胞と膜融合を行いライソゾーム酵素を移入して傷害作用を発揮することが明らかにされている。一方正常マクロファージにはこのような作用はない。

② の場合には最も重要な物質として過酸化水素(H2O2)が考えられている。しかし、これらの現象のみでは腫瘍細胞傷害性の全てを説明できる物ではなく、これら以外の現象が複雑に作用し合っていることが想像される。

それとは別に、ガン抗原に対する特異抗体に抗がん剤や酵素を結合させ、効率良くガンの生じている部分に抗ガン物質を運搬して正常な体細胞には影響を与えず、ガン細胞のみを特異的に破壊しようとする試みもなされている。(ミサイル療法) 

 

※主な免疫関連細胞とその機能 

T細胞

胸腺由来のリンパ球で以下のサブセットに分化する。 

リンフォカイン産生T細胞

免疫の成立・発現を仲介し調節するリンフォカインという一連の細胞物質を分泌しマクロファージやナチュラルキラー細胞など各種免疫細胞に作用する。 

ヘルパーT細胞

ヘルパー因子を分泌し免疫作用を促進的に調節している。 

サプレッサーT細胞

サプレッサー因子を分泌し免疫作用を抑制的に調節している。 

キラーT細胞

標的細胞を直接攻撃する殺し屋。 

B細胞

ヘルパーT細胞に助けられ成熟し抗体を産生する。 

K(キラー細胞)

抗体と結合し標的細胞を攻撃する。 

NK(ナチュラルキラー細胞)

活性化因子に活性化され非特異的に標的細胞を破壊する。 

マクロファージ

最も基本的な重要な免疫細胞であることは詳しく上述した。 

クッパー細胞

肝臓に存在するマクロファージの一種であるがその作用は明らかでない。

ガンの免疫療法の進歩は著しく日進月歩である。

ガン細胞を傷害する細胞としては

①マクロファージ

②NK(Natural Killer)細胞

③T細胞    

といわれているが、この分野は専門家でもなかなか理解しづらい程進歩しつつある。しかし、私の意見を強いて言えば研究が細分化するのは良いが、何が一番ガンの免疫療法に役立っているのかを見失ってはならないと思う。