◆がんとは何か(河合康雄著より)


◆ガン細胞は誰にも存在し、その発生は転移ではなく各部位での変異原物質やガン細胞と臓器細胞の免疫力との戦いとも言われています。

◆河合康雄博士は、ほとんどのガンの発生の発端は細胞のDNAの損傷であり、その主たる現象は突然変異と述べています。

そして、その外因性因子は食事、喫煙、放射線、化学合成物質、(医薬品は全て化学合成物質である)排煙等があり、内因性因子は加齢、ホルモン、腫瘍、ウイルス感染等があると述べています。

少しでも変異原物資のリスクを避け、免疫力を高め快適な健康生活をおくりましょう。

※日本人死因の第一位にガンが占め年間約30万人が死亡している。

ガンは人にのみ発生するものでなく、動物界に広く発生し魚や小鳥等に発生している。

また人の生体のほとんどの部分にできるといわれるガンは悪性腫瘍とも呼ばれる。

それではガンが何故怖い病気であり、悪性腫瘍と呼ばれているのか?それは留まるところを知らない増殖能をもち周辺の正常組織を侵し、さらに全身に転移、増殖して正常組織の機能を損なうことによって生体を死に到らしめるからである。 

 

※ガンの原因 

生体の正常細胞がガン細胞に変化する為には、Initiation(イニシエーション)とPromotion(プロモーション)の二段階が必要であると言われている。

イニシエーションとは細胞のDNAが損傷を受ける段階である。この作用をもつ物質をnitiator(イニシエーター)と言い、発ガン物質(Carcinogenカルシトゲン)や変異原物質(Mutagenムタージェン)がこれに属する。

しかし、体細胞には損傷を受けたDNAを修復する能力があるので、必ずしも損傷を受けたDNAがガン化へ進む訳では無い。

損傷されたDNAのうち元へ回復されずDNA機能を失っていないDNAを異化へと進行させる段階がある。

この段階がプロモーションと言われる段階であり、これによってガン細胞へと導かれる。

この作用をもつ物質(必ずしも物質だけでは無い)を、Promoter(プロモーター)と言う。

このような考え方を発ガンの二段階説(Two stage carcinogenesis)と言い、現在の発ガンの原因を代表する考え方である。

又、ガン発生における二段階が発ガンのリスクファクターである。Initiation及び、Promoterの排除、不活性化ができればガンを予防できるのではないかと考えられる。

  

※ガンの種類 

ガンの原因物質がはっきりしている環境ガンと原因不明な偶発ガンの二つに大別される。 

環境ガンとは職業ガンや実験ガンなどであり人や実験動物が発ガン物質を高濃度(閾値以上)か或いは、閾値以下の濃度で長期間さらされた結果、発生したガンである。 

偶発ガンとは発ガン因子が何であるかわからないが環境中に存在する何らかの物質が原因であり、それがまだ同定出来ないというガンである。

しかし、この多くは広義的には環境ガンに含まれる。現在まだ原因物質が同定できないとは言えこの方が多い。

実験動物では原因物質が究明されても、人では中々究明し難いのが現状である。  

 

※発ガン因子と発ガン物質 

アメリカ合衆国における疫学調査結果によると発ガン因子は外因的なものが80%、内因的なものが20%であると言われる。

日本では正式な疫学的調査は未だ行われていないが、アメリカとほぼ同じであろうと考えられている。

殆どのガンの発生の発端は細胞のDNAの損傷であり、主たる現象は突然変異である。

即ち前述のInitiationやPromoterがそれである。

外因性因子として食事、喫煙、放射線、化学合成物質(医薬品は全て化学合成物質である)排煙等があり、内因性因子としては加齢、ホルモン、腫瘍、ウイルス感染等がある。 

『余談であるが私がアメリカで研究したEBウイルス(DNA型ガンウイルス)は発ガン性もあれば発ガン促進性もあることが、私の研究で発見された。遠い昔の第2の故郷での研究の思い出である』  

これらの因子の中から物質として同定され動物の発ガン実験で、発ガンが確かめられたものが発ガン物質である。これまで見つけられた発ガン物質としては 

①芳香族異環炭化水素化合物 ②芳香族異環化合物③ニトロソ化合物(特に注目されているのがニトロソアミン)④芳香族アゾ化合物 ⑤制ガン抗生物質 ⑥カビ毒などの有機化合物⑦ヒ素、カドミウム、クロム、等無機化合物 など多くの化学物質がある。 

 

※発ガン物質と変異原物質 

ガンの発生は突然変異から起こる可能性が大であることから、環境中に存在する突然変異を起こす物質=変異原物質(Mutagen)をスクリーニング(捜索)する実験法がAmesらによって開発された。

AmesTestによって我々の環境中、とくに食事環境から数多くの変異原物質が検出された。

これまで見出された変異原物質は次の三つに大別される。 

①植物に繁殖するカビ、腐敗菌が発生する毒素、抗生物質、あるいは植物が含有する、フラボン類などのように自然界に存在する物。

 ②植物成分の加熱処理によって生じた(いわゆるコゲ中の成分)化合物や自動車の排気ガス、工場の排煙中の燃焼生成分などの加熱生成物。

③食物中に混入する防腐剤、殺菌剤、食品添加物などのような人工合成化学物質。 

以上の変異原物質はさらにその突然変異原性の型から二つに分けられる。 

一つは、物質がそのまま細胞に取り込まれDNAに付着(Attach)するグループ。

もう一つは、その型では変異原性がなく、生体中の代謝酵素によって代謝された物が変異原性を示すグループ。

この二つの型がある。

環境中から見出れた変異原物質のうち動物にガンを起した物質はベンツピレン、Trp-P1 ニトロピレン、ニトロソ化合物など数少ないが、Ames Test は発ガン物質のスクリーニングには適さないという見解を持つ人がいるがそれは危険である。

と言うのは環境中から検出した変異原物質は微量であり、その多くは単離、固定がなされていない現状である。

そして前記の発ガンが確認された物質は変異原性が強力であるため微量でも発ガン閾値を超えたためであり、まだ発ガンが確認できない物質は変異原性が弱く、かつ生体側の影響によって発ガンが短期間では起こらなかった為と考えられる。

加うるに概知、発ガン物質のAmesTestの結果90%以上が変異性を示し変異原性とガン原性は相関性があることが示唆されている。

以上の事からAmes Testによってスクリーニングされた変異原物質はガン発生Initiatorになる可能性があることは間違いない。